コインランドリーの火災を防止する方法!消防署への届出は必要?

2022.07.07

コインランドリーを経営する際に、注意したいのが安全面です。
無人経営も可能なコインランドリーですが、とくに「火災」については細心の注意を払う必要があります。

そこで今回は、コインランドリーの火災を防止する方法と、消防署への届け出について、詳しく解説します。

コインランドリーの経営を始める前に必ず知っておきたい内容となっていますので、ぜひ最後まで目をとおしてみてください。

コインランドリーで発生する火災の主な原因

コインランドリーの火災はどのような原因から発生するのでしょうか。

札幌市消防局の火災原因調査報告「コインランドリーのガス衣類乾燥機からの出火事例」によると、おもにみられる出荷原因として

・油分を含んだ洗濯物からの発火
・バーナー火に着火した綿埃がドラム内に侵入

の2点が挙げられています。

これらがどのように発火原因となるのか、具体的に見ていきましょう。

油分を含んだ洗濯物からの発火

「油分を含んだ洗濯物」というとイメージしづらいかもしれませんが、エステ・マッサージ店などでボディ用オイルを拭き取ったタオルや、機械油が付着した作業着などがあります。

これらは洗濯をしても、完全に取り除くことができません。

そのため乾燥機で乾燥中に、あるいは乾燥後にそのまま放置して放熱できない状態のときに発火することがあります。布にしみ込んだ油は空気と接する面が多くなるため、高温時に発火しやすい状態となっているためです。

また、乾燥が終わった状態で衣類を積み上げておく場合にも、放熱しにくい状態となるため注意が必要となります。

排気ダクト内のチリやホコリの目詰まり

乾燥機の排気ダクト内のチリやホコリが極端に溜まった状態にあると、火災の原因となります。表面的には掃除をしていても、排気ダクト内の掃除はできていないことがほとんどではないでしょうか。
年中無休で営業した場合、開店から3年程度経てば排気ダクト内には綿ホコリが詰まった状態となるため、定期的に清掃業者に依頼することをおすすめします。

コインランドリーの火災を防止する方法

では、上記のような火災の原因を作らず、コインランドリーの火災を予防するにはどうすればよいのでしょうか。

目立つ場所に注意書きを貼っておく

一つは、目立つ場所に注意書きを貼ることがあります。

無人営業のコインランドリーでは、常駐スタッフが目を光らせていられるわけではありません。そのため、利用者への注意喚起として「油分を含んだタオルや衣類を乾燥機へ入れないでください」といった注意書きを用意する必要があります。

注意書きは目立つ場所に貼り、利用者が見落とさないようにしましょう。
また、BGMや店内アナウンスを利用している店舗では、利用者に注意してもらいたいことを録音しておき、定期的に流れるよう設置するのもおすすめです。

専門業者に依頼して定期的に機器をメンテナンスしてもらう

コインランドリーの排気ダクトは、乾燥機につながっている「スパイラルダクト」と、それを束ねた「集中ダクト」があります。

スパイラルダクトと集中ダクトの両方を定期的に掃除すれば、ホコリ詰まりを起こしにくくなるため、故障や火災の防止につながります。さらに、ダクト内を空気がスムーズに流れるようになり、電気代の削減にもなるでしょう。

残念ながら、素人が掃除できるのはダクトの表面だけとなるため、専門の清掃業者に依頼することをおすすめします。清掃業者であれば機器に応じて分解・専門の器具を用いた清掃を行ってくれるので、ダクトに詰まったホコリを一掃することができます。

清掃を依頼する際には、ランドリー機器やエアコン、床の清掃まで一貫して行ってくれる業者に依頼するとスムーズです。併せて店舗の除菌まで行ってくれるところであればベストでしょう。

定期的にしっかりとホコリを除去することで、火災を予防するとともに故障による機会損失も防ぐことができます。

開業時は消防署への届出を忘れないように

コインランドリーの開業時には、自治体によって消防に届け出が必要なケースがあります。
消防法を自治体がどう解釈するかによって届け出の必要性は変わるため、注意しましょう。

消防法第九条(火を使用する設備、器具等に対する規制)

消防法九条(火を使用する設備、器具等に対する規制)の条文は次のとおりです。

第九条 かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具の取扱いその他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める。

出典:e-GOV法令検索

内容としては「火を使う設備などがあれば消防に届出が必要」という旨となっていて、乾燥機がこれに該当するため、コインランドリーの開業には届け出が必要となります。

ただし、自治体によっては店舗面積や乾燥設備の性能などによって不要な場合もあるため、コインランドリーを開業する前には管轄の消防署に届け出が必要か否か確認しましょう。

火災予防条例第五十七条(火気使用設備等の設置の届出等)

上記の消防法を受けて、東京都では次のように条例を定めています。

第五十七条 火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備(以下「火気使用設備等」という。)のうち次に掲げるものを設置しようとする者(内容を変更しようとする者を含む。)は、当該工事に着手する日の七日前までに、規則で定めるところによりその旨を消防署長に届け出なければならない。
(中略)
七 乾燥設備(入力が十七キロワット未満のもの又は乾燥物収容室の据付け面積が一平方メートル未満のもの若しくは乾燥物収容室の内部容積が一立方メートル未満のものを除く。)
(中略)
2 前項の規定による届出には、火気使用設備等の位置、構造、性能その他火災予防上必要な事項を記載した図書で規則で定めるものを添付しなければならない。
出典:火災予防条例(東京都)

東京都では上記のように、消防への届け出が必須となります。

まとめ

今回は、コインランドリーの火災を予防する方法と開業の際の届け出について、詳しく解説しました。

コインランドリーは無人営業が可能な事業であり、本業を持っている人でもオーナーとして活躍できます。しかしいくら無人経営が可能といっても、店舗の開閉や清掃、集金などの業務は発生します。また、今回ご紹介した火災の予防をはじめとして、安全面には細心の注意を払う必要があります。

「せっかく投資して始めたのに、意外にやることが多くて大変」と、業務負担が原因で経営を円滑に進められないのはもったいないことです。そのため、コインランドリー経営は運営代行のサポート体制が整っている会社と、二人三脚で行うことをおすすめします。

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